中古住宅を古民家風にDIYリフォーム!

中古住宅を購入。心地よく住むために、古民家風に手を入れていくプロセスを紹介します。

「残置物あり」について考える

こんにちは夫です。


さて前回、鎌倉の家の後、横須賀に家を買う話をしました。


鎌倉の自宅をDIYで直して住めるようにしたこのノウハウを生かさない手はない。
さまざまな困難を乗り越え、ひどい状態だった古屋を心地よい住まいに変えた自信。
……これが原動力でした。


といっても一度うまくいったからといって、違う状態の家を同じように直せるかどうかは、やってみなければわからない。
その程度の自信だから怪しいものです。


そんな中、ある不動産業者のサイトに出会ったのです。
去年の夏のころの話です。


その業者は普通の不動産業者とは根本的に違うやり方をします。
話すと長いのでこのことは次回あらためて。


とにかくそこではびっくりするほど安い物件が数多くサイトに上がっています。


横須賀にあるその物件は平屋で広めの3DK。
階段を10段ほど登った少し高台に建っています。
昭和の、高度成長期に建てられた家です。
長年家族で住んでいたのでしょう、ワンオーナー物件です。


共有道路に面していてそこから一般道路に出るようになっています。
前回お話しした
「2 駐車場がなく、道路付が悪く、再建築不可か可能であっても制約が大きい。」
のパターンですね。


建て替えは不可能ではないのですが、制約が多い。
それゆえ値段も非常に安く当初私が組んだ予算内にあったのです。
問題はその家が「残置物あり」だったこと。
これで買い手がなかなか現れなかったのではないかと推測します。


鎌倉の家を買った時、格安に買えた理由の一つが「残置物あり」物件だったことでした。
これは買い手にとって有利に働くと書きました。
今回も同じように残置物を取り去ってしまえば事情は変わる。
しかも残置物撤去は“売り手側の責任”と書いてありました。


「ほう、なら一度見てみようか」
ということで担当者に連絡しました。
女性の担当者で「どうぞ見てください」と住所を教えてくれました。
「一緒に行かないのですか?」と聞いても、
「鍵はかかっていませんから、どうぞ」と意外な答え。


とにかく行ってみることにしました。
もちろん駐車場はありません。
大通り沿いの一般駐車場に車を置いて、とことこ歩いて行きました。


細い通り沿いには古くからの戸建て、アパート、賃貸用のマンションもあり、空き地は駐車場になっていました。
ある程度歩いた後、横にそれる道がありそこから少し上り坂。右側に石垣があり、その上に家が見える。
どうもそこらしい。
階段を登るとすごい光景が現れた。
「……廃墟」


不動産サイトの写真はなんだったのか? 草だらけではないか? 騙された!
そして勝手口にあるドアは開いたままだった。
鍵はないしドア自体ちゃんと閉まらない。
中に入ってみた。
「残置物あり」とはこういうことなんだ。思い知らされた。





※画像はプライバシーのため手を加えています。



鎌倉の自宅の場合、古くなっていても元々しっかりしたつくりでお金をかけて建てられた家なら、直せば良くなる。そんな基準で選びました。
今回、そんな判断ができないほど荒れ果てていました。




家の周りをチェックしようにも草ぼうぼうで裏へも回れない。
「これはダメだ」


それでも冷静に冷静に、自分なりの採点しなければと、良いところを探しました。


元々どうだったのか?
全てのガラスがほぼ統一した模様でした。
前オーナーが選んだのか、 建築士が選んだのか。
美的なセンスは感じることができました。


それに、玄関周りの残置物には昭和の家庭に見ることのできる、ある種の幸せな瞬間を見出すことはできました。


しかし、しかし、でも。
不動産業者の担当者には断りの電話を入れることにしました。



<考察>


考察1 
残置物は家に問題がなければ値段交渉の切り札。
家に何らかの問題がある場合はその問題のカムフラージュにもなる。
しかしラッキーばかりとは限らない。


考察2 
ネットに掲示された写真は今の姿とは限らない。
数年前撮られた写真を使っていることもある。
特に借主が今住んでいるものをオーナーが他人に売る場合、店子が入居する前の綺麗な写真
を使う場合がある。


考察3
 廃墟のように見える住宅が、本当に廃墟なのかどうか?
それは、屋根や壁、柱がまともに立っているかどうか。
表面的な汚れは改善できるが機能的な部分、例えば雨漏りするかとか、シロアリがきているかとか、土台が問題だと高くつく。
場合によっては再生不可能なこともある。

「三為(さんため)業者」って何だ?

夫です。


前回に引き続き、横須賀の物件の話。
去年の夏は暑かったですね。
昨夏、我々夫婦が能登へ旅行していた頃のことです。


担当者に、断りの電話を入れようとしたのですが、なにしろ担当者にも会っていない。
あらためて不動産業者のサイトを開き、物件の詳細を見たのです。


担当者の名前と電話番号……、するとこの物件の値段が大幅に下げられているではありませんか!


あれれ。
また決心が微妙になってきました。


旅先のホテルで、ノートパソコンに送られた資料をもう一度見てみました。


固定資産税評価額が記載されていました。
土地建物の評価額が物件価格よりかなり高い。


「こんなことってあるんだ」
「これって本来価値のある土地ってことだろうか?」
売主の欄は不動産会社の名前かと?


……そうではありません。
「三為になります」と書いてある。


はて、三為?
人の名前? 
藤原三為?(笑)


ネットで調べてみると
さんため、と読むそうです。
三為業者とは何か?
不動産を「第三者の為に契約する業者」の事で、簡単に行ってしまえば「転売業者の事」と。


なんのこっちゃ?
普通の不動産業者でも売主のために骨を折ってくれるではないか?
どこが違う?
色々調べた結果私なりの解釈を述べます。


普通の不動産売買は、家の売主が不動産会社に頼み買い手を見つけてもらう。
買い主は合意に達した代金を払い、家を引き渡してもらう。
売主も買主もそのお礼(手数料)に物件の3%+6万円+消費税を不動産会社に払う(少額の場合5%)。
大体3%ちょっとという認識だが、不動産業者にしてみれば物件の価格次第でものすごく違いが出る。
1億の3%は300万であり、1千万の3%は30万である。
物件価格が高額でも低額でも、手間は大差ない。
不動産業者にしてみれば低額の物件を扱うと儲けが薄い。
そんな物件は扱いたくないのが人情だ。


不動産業者がいったん買い取るという方法もある。
安く買い取って高く売る。
しかし、買い取ると自社で物件の登記をしなければいけないし、転売で得た利益には税金もかかる。


そこで「三為業者」の登場となる。


三為業者は、家が売れたとき売主に手渡す金額を、あらかじめ決めておく。
その金額にしっかり利益を乗せた価格で買い主を探す。
買い主が見つかると、その買主は三為業者に代金を払い、三為業者はあらかじめ決めた代金を売主に払う。つまり、手数料などの縛りがないのが特徴だ。


契約は売主と買い主間で行う形式をとるのだが、実際は三為業者が売主、買主それぞれと手続きを行う。
三為業者の利益は一体いくらなのかわからない。


つまり三為契約は中間利益をしっかり取るための法的抜け道みたいなものだと認識する。
いや、民法第537条以下の「第三者のためにする契約」にあたるそうだから、法的には問題ないのだが。


例えば三為業者は古家を確保の上、500万で買主を探し、売主に250万渡す。
こんなことが可能なのだ。


「そんなことをするより売主は一般不動産会社に頼んだ方が得でしょ」と思うかもしれないが、低額物件はなかなか扱ってくれないのが現実だ。


私が契約したこの業者、ネットで評判を見てもそう悪いようでもなく、とにかくこういう形式で契約するものだと。


それより問題は、この物件が果たして我がDIY力で再生できるものかどうか?
そこにかかっている。


あらためて不動産会社の担当の女性に電話で連絡をとってみた。


担当者:
「見てこられましたか? すごかったでしょ」


私:
「はい、すごかったです。草ぼうぼうで家の裏のほうは見れなかったのですが」


担当者:
「はい、私も見れませんでした」(←「担当者が言うな!」<私の心の声>)
「残置物は売主様が撤去しますので」
「諸々含めてあの値段です」
「で、どうされます?」



「……買います」


担当者
「……よかった」


こんな、不動産売買らしからぬ会話の中、買うことになってしまいました。
この時から半年間、激烈といっても過言ではない私の苦労が始まるのでした。



<考察>


考察1  
三為業者はまず、手に余る不動産の買取をネット上で始める。相続や権利関係が複雑すぎて困った売主から安く安く不動産を買い取る契約をするのである。


考察2
三為業者はまず、会員の中で買主を探す。会員の中で売れない時初めて一般の不動産サイトに流通させるようだ。


考察3
三為業者の契約には現状優先で、記載したことに責任を負わないようなことを書いているが、そんなことはない。最初に伝えられた物件情報に対して当然責任(瑕疵担保責任)は生じるはずだ。



DIYほぼ終了!横須賀の物件の現在の様子を公開!
↓キッチンは白タイルを貼りました


↓和室。ライトもつけました。

1stミッションは駐車場探し

さて、買うと言ってしまった横須賀の平屋。
住めるようにするには多くの関門をくぐらなければいけません。


工事やDIYに入るまでにやらなければいけないことを挙げてみます。


1、仮契約、本契約
2、代金の支払い(現金を用意する)
3、残置物の撤去の確認
4、建物の状況確認
5、修理部分を誰に依頼するか
6、各修理代金の交渉
7、工事日程の調整
8、新たに付け加えるべき設備
9、検査


ざっとみてもこのくらいの項目はあります。


物件価格の1割を振込み仮契約は完了。
これが最初の出費です。
担当者にも会わずに進んでいく契約に、若干不安を覚えましたが……。


しかしその前に、最初の関門が。
この場所に鎌倉から通うなら駐車場が必要ではないか。
この建物には駐車場がついていません。


一般のパーキングは歩いて7、8分離れたところにしかありません。
ものを運ぶのに面倒です。
さらに大工さんや設備屋さんが重いものを持ち込むのに車を止めて8分も持ち歩くというのは酷な話です。


まず建物に極力近い位置に駐車場を借りることから始めました。


調べてみると数カ所あるのですが、電話してみると意外にも埋まっている。
ベストとは言えませんが物件から150メートルくらいのところで空きを発見。
看板に書いてある不動産業者に電話をしてすぐに契約しました。
いずれにしろ半年以上は通うことになるのですから。


賃料はひと月9900円。
駐車場の仲介不動産業者へ1か月分と、9月分の駐車場代金の日割りをあわせると3万1440円、これが今回の支払いの2つ目です。


この家のいわゆる三為業者は、残置物撤去があるのですぐに引き渡しとはいきませんでした。引渡しは仮契約からひと月半も先になってしまうようでした。


大工さんを連れて内部外部検査に行きたかったのですが残置物があっては正確に状態を見ることもできず、草ぼうぼうで外部を見ることもできません。


そこで、担当者に話して、物件引き渡し前に建物の周囲の草刈りをすることになりました。


↓草ぼうぼうで、素人の手には追えない感じでした。



伐採や草刈り作業は、鎌倉の家の抜根作業をやってもらったご夫婦の業者さんに依頼しました。
なんと彼らは横須賀在住でこの場所から歩いてこれるほど近いところにお住まいでした。


9月初旬の日曜日、この業者さんの娘さん2人も手伝いに来ていて、私はこういうのに弱いんですね。バイト代を代金に上乗せして支払い。3つ目の支払い、6万円なり。


これで家の周りはスッキリしました。


↓after。家の周りがスッキリ! ムクゲは業者さんのアドバイスで残しました。


そしていろいろ見えてきました。


壁に穴はあるは、軒がベリベリにはがれているは……
それはもう大変です。


↓軒下がベリベリはがれていました。


室内を大工さんに見てもらうため、残置物撤去の日を担当者に確認しましたが、「今、交渉中なので」との答え。
本契約9月末までにまにあうのでしょうか?



<考察>


【1】
 荷物運搬のため、できるだけ物件の近くに駐車場を借りたほうが良い。


自分のためだけではなく、工事を頼んだ業者さんのためにも、近くに駐車場があったほうがよい。ただ、駐車場を借りる時、駐車場オーナー側は、業者が車を置くことをいやがる場合もあるので、曖昧にしておくのも手。


【2】
草刈りというとシルバー人材センターに安価で頼みたくなるところだが、人気なのですぐにはやってもらえない。ここは費用をかけても業者に頼むと確実である。日程調整も比較的楽。


【3】
家の直しは工務店に頼めば全部やってくれるのだろうが、工事を個別に注文するのと比べて値段は倍くらい高くなると思った方がよい。逆にいうとそれぞれの工事の段取りを自分でやらなければならない、時間の取れる(私のように)人間でないと無理。これは鎌倉で経験ずみだ。